草花BBS 155616


ゲンカイイワレンゲ~その①

1:陽だまり :

2014/03/10 (Mon) 07:02:23

先日、北九州自然史・歴史博物館であった「ゲンカイイワレンゲに関する研究経過報告」から、分類上のポイントをまとめてみました。分布は中国、朝鮮半島、日本(長崎、福岡)

①ゲンカイイワレンゲはアオノイワレンゲの別名説~1910年
田代善太郎が1909年に対馬で採集した標本を牧野富太郎に同定を依頼し、牧野はアオノイワレンゲとした。これに伴って「日本の野生植物 草本」や「河川水辺の国政調査 平成24年度生物リスト」ではゲンカイイワレンゲはアオノイワレンゲの別名とされている。福岡県での発見は1929年。
②ゲンカイイワレンゲの命名~1956年
標準和名は大井次三郎によって命名された。当時の学名はOrostachys genkaiensis Ohwi
③アオノイワレンゲとゲンカイイワレンゲ別種説~1990年
大場秀一が両者の詳細な形態的特徴の比較から、北日本産をアオノイワレンゲまたはコイワレンゲ(var. aggregeatus)、九州北部産をゲンカイイワレンゲ(var. malacophyllus)の二変種に分類した。その後、環境省レッドリスト(2007)はvar. malacophyllusを採用した。Flora of Japan Volume Ⅱ(2001),Flora of China(2001),Illustrated Handbook of Succulent Plants Crassulaceae(2003)などの海外の植物誌では亜種であるssp. malacophyllusが使われている。
④その後のDNA解析の結果
両者の遺伝的距離が近いため亜種や変種にできるかDNAでは判断し難い
ということでした。

⑤したがって、ゲンカイイワレンゲはアオノイワレンゲ広義(Orostachys malacophylla (Pall.) Fisch.)の変種または亜種で良さそうです。ちなみにアオノイワレンゲの学名は(var. aggregeata (Makino) H.Ohba)でアオノイワレンゲ広義の変種。

8日に福岡の全自生地を巡ってきました。添付画像は春咲きゲンカイイワレンゲ。どの世界にも変わり者がいるものです。
なんと、今朝は屋根と草地がうっすらと雪化粧。これも珍しいです。
2:panda :

2014/03/10 (Mon) 08:39:33

ゲンカイイワレンゲの研究報告ありがとうございました。昨年は九大の学生さんが調査中でいろいろ伺ったのですが、「ゲンカイイワレンゲと呼んでいいのじゃないか」と言われました。こんないきさつだったのですね。でも複雑で一度読んでもよくわかりませんね。⑤があるならば、ゲンカイイワレンゲはアオノイワレンゲ広義(Orostachys malacophylla (Pall.) Fisch.)の変種または亜種でいいのかしら。

ツメレンゲも真冬に咲くことがあります。そういえば、ここ数年ツメレンゲの産地がボロボロなんです。高いところにには咲いているのですが、手の届くところは子株しかありません。イノシシが食べるのかな?
今日の長崎の朝も寒かったですよ。

それから、今多肉植物を集めているのですが昔、野母崎の民家の屋根にイワレンゲがあったそうです。調べて見ると国内帰化でした。イワレンゲの場合よく栽培されたりもしていたのかしら、自生と見分けるのは大変そうです。
3:陽だまり :

2014/03/13 (Thu) 07:30:46

ゲンカイイワレンゲの戸籍みたいなものでわかりにくかったかもしれませんね。“⑤したがって、”を追記しておきました。
調査している方は分類を専門としていないので,ゲンカイイワレンゲとイワレンゲやアオノイワレンゲの相違点はわからないとのことでした。葯は黄色~汚淡紅色

さて、ゲンカイイワレンゲの葯の色です。
当地の裂開直前の葯が黄色と濃紅紫色の花をプリントして見てもらいました。どのタイプも見たことがないそうです。
長崎にも黄色の葯があったとのことで、その画像ファイルを送ってもらいました。裂開直前の上部の葯は薄く紅色を帯び,下部の葯が黄色。福岡のゲンカイイワレンゲの一部に見られる黄色タイプではありませんでした。
長崎、福岡、山口のイワレンゲ、ゲンカイイワレンゲの葯の色を整理すると、
①ゲンカイイワレンゲ/長崎
 黄色(上部の葯は薄紅紫色)~紅紫色(最も多い)
②ゲンカイイワレンゲ/福岡
 黄色~濃紅紫色(少ない),最も多いのは紅紫色
③イワレンゲ/福岡(2ヶ所)
 黄色。ゲンカイイワレンゲより白っぽい黄色。
④イワレンゲ/山口
 黄色~汚紅紫色(レッドデータブックの表現)

結局、ゲンカイイワレンゲとイワレンゲを花期の特定の個体の葯の色で見分けるのは難しいのかもしれません。花期の葉の形も傾向としてはゲンカイが長いですが一概には言えず同定には難しそうです。確実なのは葉の色。
アオノイワレンゲとの違いとなるとさっぱりわかりません。研究者の間ですら紆余曲折があるのですから無理もないかも。
4:panda :

2014/03/14 (Fri) 00:28:07

陽だまりさん、こんばんは。
イワレンゲの葯の色は白っぽい黄色~少しピンクが入ったものまである。ゲンカイイワレンゲの葯の色は黄色~濃紅紫色まであり葯の色はあまりこだわらないと思ってもいいのかしら。
長崎県植物誌(外山三郎著)を見ると、対馬のものをアオノイワレンゲ、壱岐のものをゲンカイイワレンゲとしています。外山先生はどこで区別したのでしょうね。イワレンゲとゲンカイイワレンゲは葉の色で区別するということで理解できます。
今回もゲンカイイワレンゲについてのお話ありがとうございました。私も陽だまりさんにお礼ができるような知識を身につけたいのですが、難しいので調査係ということでお役に立てればいいでのですが・・・<(_ _)>
5:陽だまり :

2014/03/14 (Fri) 07:29:08

長崎産はすべてゲンカイイワレンゲとして調査していました。
一時期、アオノイワレンゲとしていた時期もあるので、植物誌はその当時の種名だったということではないでしょうか?
長崎の黄色タイプの葯の画像は対馬産です。

その②に"結局、ゲンカイイワレンゲとイワレンゲを花期の特定の個体・・・(中略)・・・傾向としてはゲンカイが長いですが"の部分、イワレンゲの間違いです。編集削除キーを入れてないので修正できませんでした。

ゲンカイとアオノの区別は大場先生の調査ろんぶん論文ということになるのでしょう。読んでみたいですね。

次は先日の、雑種アゾラの葉の顕微鏡写真をゆきます。
6:panda :

2014/03/14 (Fri) 11:46:06

陽だまりさん、こんにちは
イワレンゲの最終講話ありがとうございました。②の「ゲンカイ→イワレンゲ」は私には訂正することができないのですが、しかと受け賜りました。植物誌のほうは確認できず過去の記録をそのまま継続したりもしますよね、それで壱岐と対馬で名前が違っているのかもしれません。大場先生が何を基準に分けたのかは私も知りたいですが、今のゲンカイイワレンゲ説でも難しいのにわかるかしら?
次回の雑種アゾラの顕微鏡写真楽しみにしています。

長崎のネコノメソウはとっても地味です。小さいしヤマネコノメ?って思うくらい。でもおしべ4本、葉は対生だし毛もないからやっぱりネコノメソウしか当てはまりません。
7:me :

2016/11/09 (Wed) 17:31:35

ゲンカイイワレンゲとイワレンゲの遺伝子が近いということは、地域変種ということでしょうか?
実際葉の色とか葯の色とかは一定数現れる変異個体の差でしょうか?
植物にはあまり詳しくありませんが、福岡県と山口県の自生地は距離的に近いんでしょうから色変わりの同種という素人判断は危険ですかね?
8:panda :

2016/11/10 (Thu) 08:46:50

meさん、コメントありがとうございます。
私には判断できませんので、とりあえず目に付きやすいいように上にあげておきますね。コメントが付くといいのですが、難しいかもしれません。どなたか専門の方に聞かれたほうがよいと思います。
9:陽だまり :

2016/11/11 (Fri) 07:33:19

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1478817200.jpg meさん、pandaさんおはようございます。
両者をしつこく比較観察している植物好きとしての見解ですが、単なる色違いの変種ではないと考えています。
添付写真のようにイワレンゲの葉の白っぽいのはこするととれます。ゲンカイイワレンゲは中国大陸、韓国、長崎、福岡に分布とあるので色違いの品種レベルではないと思います。イワレンゲが白いのは葉の表面が粉のようなものがついているからです。写真は屋根に自生している方がタコツボにうえたものをいただいたものです。
もう一つの違いは、県内複数個所のイワレンゲは葉と葯に赤系の色素がないということです。これは帰ってから投稿します。
10:panda :

2016/11/11 (Fri) 09:48:07

陽だまりさん、おはようございます。
よかった♪ コメントありがとうございます。私の掲示板なのに他力本願ですみません。
イワレンゲの白いのは表面に粉のようなものがついているのですね。今植物園にロゼットがあるので、次に行ったときに触ってみます。
11:陽だまり :

2016/11/13 (Sun) 02:57:35

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1478973455.jpg 帰ってからと言いながら遅くなりました。
これまで見た県内のイワレンゲの葯、葉、苞、茎は赤や茶系の色を含みません。
12:陽だまり :

2016/11/13 (Sun) 03:01:05

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1478973665.jpg これもイワレンゲで、上の画像とは産地が異なります。
13:陽だまり :

2016/11/13 (Sun) 03:18:59

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1478974739.jpg これは子房の色の変化を示す画像です。葯が裂開した花が最上部だけで、花期の終わりに近い個体ですが、開花初期は淡い黄緑からクリーム色です。下部の花の子房(果実?)は褐色に変化します。ゲンカイイワレンゲは赤くなります。
これまでに見てきたイワレンゲは白から緑系の色しか発現せず、やがて枯れます。
14:panda :

2016/11/14 (Mon) 08:27:31

陽だまりさん、イワレンゲの葉と葯に赤系の色素がないということ、よく分かりました。子房の色は変化するのですね。
私が山口で見たものは、葯の色が少し赤みがあり、冬は葉にも赤みが入っていました。福岡と山口では地域的な差か、地質的な差があるのかなぁ?これこそ個人的な考えなので、とりあえず違いがあることだけ下に証明^m^
http://nannjyamonnjya.blog68.fc2.com/blog-entry-1799.html
でも、この赤みというのは、ツメレンゲなどでも変化があるように思います。
15:陽だまり :

2016/11/16 (Wed) 07:33:06

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1479311377.jpg pandaさん、おはようございます。
葯が薄く桃色かかるタイプは知っています。ウスベニレンゲ(f. rosea (Sugaya) H.Ohba)と言われるタイプでしょうか。山口県には葯が黄色だけのイワレンゲ自生地もあります。
私がもらって開花まで観察したイワレンゲは霜にあっても変色なし。花が咲くと枯れるのでやや赤味がでますが、葉に茶褐色を持つタイプとは紅葉のレベルが違います。
葉に赤い色素がないイワレンゲの子房の色は赤くなるというよりも枯れて茶色になる感じです。厳冬期の色は観察例が少ないので改めて見てきます。
16:陽だまり :

2016/11/17 (Thu) 02:00:11

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1479315612.jpg イワレンゲとゲンカイイワレンゲは、葉が帯粉して白っぽく見えるのがイワレンゲ、ゲンカイは帯粉しないので艶があるので、現品を見れば容易に区別できます。葯の色は同定の参考には無理そうですね。
アオノイワレンゲとゲンカイイワレンゲがどう違うのか?
ネット検索で見た範囲ではアオノイワレンゲはゲンカイほど茎の上部で分枝してないように見えます。ゲンカイの大型株はこの画像のように茎の上部でも良く分枝します。イワレンゲよりこの傾向が強そうに思えます。
17:panda :

2016/11/17 (Thu) 18:54:14

長崎にはアオノイワレンゲが対馬あるようになっています。どう違うのか聞いてみたことがあるのですが、対馬のは小さいのだそうです。でも岩場にあるから小さいのかもしれませんが。ということでした。
ゲンカイイワレンゲも海岸にあるけれど、さらに厳しい状況の中に自生しているのかしら?みたことがないのでよくわかりません。

いつか対馬に行ってみたいです。
18:vol :

2016/11/17 (Thu) 22:18:02

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1479388682.jpg pandaさん みなさん こんばんは。
スレッドが長くなったのに またふやしてすみません(^_^;)
陽だまりさんのものすごく分岐しているのにびっくりしてつい。。。
画像は先月下旬こちら(宮城県)でみた一番背が高かったアオノイワレンゲです。分岐するのは見ていません。 分岐しているのを見つけてみたいです。
19:panda :

2016/11/18 (Fri) 15:48:03

vokさん、アオノイワレンゲの写真ありがとうございます。掲示板さまさまです。といっても、大きさだけであんまり違いを見出せないのが悲しい。

そちらはすっかり冬景色ではないですか?長崎はどんよりと雲空です。これから買い物に行ってきま~す!
20:陽だまり :

2016/11/19 (Sat) 07:22:37

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1479509358.jpg volさん、アオノイワレンゲの写真ありがとうございます。
最近、こちらでは見られなくなった空の青さです。アオノイワレンゲは、Y-Listに別名コイワレンゲとあるので小型のものが多いのでしょうか?
当地には小さくても分枝する株があるので、VOLさんが分枝したアオノイワレンゲを見てないというのは興味深いです。長崎のはどうなのでしょうね。一度足をのばしたいです。
これは飛来したツマグロヒョウモンとの比較で中~小型サイズのゲンカイイワレンゲの分枝例。
21:panda :

2016/11/19 (Sat) 08:43:53

皆さん、おはようございます。
長崎にいながら、対馬にまだ行ったことがありません。いつか行ってみたいですね、でも、シカの食害がひどくて希少種は○株というような状況なのだそうです。

http://jf6ied.exblog.jp/7664929/

対馬のアオノイワレンゲを検索してみました。大きな画像がなくよく分からないけど…
22:vol :

2016/11/20 (Sun) 16:50:52

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1479628253.jpg こんにちは

陽だまりさん
きょうは日曜日なので(日曜日じゃないと入り込めないので)浜に行ってみました。工事で大分岸壁が少なくなりましたが アオノイワレンゲは結構見られました。
大きさはこの場所では花序の長さが10cm内外のが多かったです。小さいですか?
分岐してるのを探したのですが 画像のは分岐ではないですか? 浜の植物は去年からしか見ていないので多くは見ていません。

pandaさん
大きさは大分違いますか? 画像の長めのが10cm弱ぐらいの花序です。pandaさんのブログの画像では小花の大きさも違うような気がしましたが 陽だまりさんの画像だとそうでもないかなと思ったりして 実物見たことないとわからないですね。
23:陽だまり :

2016/11/21 (Mon) 00:05:44

https://bbs8.fc2.com//bbs/img/_768300/768207/full/768207_1479654344.jpg VOLさん、大きさの確認ありがとうございます。
主茎の花序が10cm内外だとゲンカイでは小型です。ゲンカイは分枝した枝には10cm以下が多く、主茎の花序は15~25cmが普通でVOLさんのアオノイワレンゲより大きいです。VOLさんの画像(右)は株の基部から分岐しているように見えます、この分枝はゲンカイでもイワレンゲでも見られます。

pandaさん、対馬産アオノイワレンゲの紹介ありがとうございました。対馬産は周囲の植物との比較からすると、VOLさんのものより大きいように見えます。
ゲンカイイワレンゲとアオノイワレンゲ、どこがポイントなのか悩ましいですね。

紅葉が低山まで降りてきました。今年の紅葉は、悪くはないといったところでしょうか。

24:panda :

2016/11/23 (Wed) 18:43:33

みなさん、こんばんわ
volさん、アオノイワレンゲをありがとう。私の写真の小花の大きさは良くわからないのですが、陽だまりさんの説明とvolさんの実況中継で、アオノイワレンゲがイワレンゲより小さいことがわかりました。
どのくらいなのか、見てみたいです。

陽だまりさん、いつも詳しい観察ありがとうございます。またイワレンゲのことを考える機会になりよかったです。対馬のアオノイワレンゲはどうなのかな?

町のナンキンハゼも色づいて、秋らしい風景になりましたね。これから冬に向かって林床は歩きやすくなって、陽だまりさんの冬の間に下調べをして歩く姿が思い浮かぶようです。

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